2008年12月11日

厚生労働省「平成18年度女性雇用管理基本調査」

今回の育児・介護休業法改正案の内容は現実に即しているのでしょうか。
育児休業制度の取得率は確かに向上しています。厚生労働省「平成18年度女性雇用管理基本調査」によれば、育児休業取得者は女性が88.5%(平成15年度は73.1%)、男性が0.57%(同0.44%)となっています。  

ただし注意しなければいけないのは、この「取得率」の定義が以下のようになっているということです。  
 「平成17年4月1日から平成18年3月31日までの1年間に出産した者又は配偶者が出産した者に占める、平成18年10月1日までの間に育児休業を開始した者(育児休業開始予定の申出をしている者を含む。以下同じ)の割合」 

重要なのは、この調査対象が企業であり、ここにおける数字はすべて「出産時点で会社に在籍していた人」を対象にしていることです。  

つまり「出産を理由に退職した女性」は含まれていません。育児休業という制度はあるものの、実際には取得しにくい雰囲気の中で退職さぜるを得なかった女性や、正社員ではないために育児休業制度の対象外とされ、退職した女性もいるでしょうが、これらの数字は含まれていないのです。  

実際、前述の「背景」の中で「第1子の出産を契機に約7割の女性が離職する」という事実にも触れています。にもかかわらず、「育児休業制度があっても利用できていない」という事実を直視しておらず、その対策が実施されていないように思います。 

今回の法案は「(育児休業を取得して)働き続けている人」への優遇施策となっています。もちろん、これによって7割という離職率が下がるのなら、施行する意味があります。

しかしもし、この7割の女性たちに次のように問いかけたら、どんな答えが返ってくるでしょうか。 

 「あなたは育児休業から復帰後に残業が免除されるなら、仕事を続けましたか?」


「制度があっても利用できていない」現実を直視すべき



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Posted by ドルフィン at 22:57 │ニュース